個展のお知らせ

広島市内で個展を開催します。

Domes_01, 2023

坂本淳 個展「Domes」
会期:2023年7月25日(火)〜8月6日(日) / 11:00~18:00 / 月曜休み
会場:株式会社いづゝや商店 https://izuzya.com
住所:広島市中区大手町1丁目4-18-1

※作品はショーウィンドウでの展示の為、いつでもご覧いただけます。
※営業時間中は、店内にて作品解説シートをお渡しします。
※ショーウィンドウには12点組のうち3点を展示します。
※トークイベント時には、12点すべてを店内にて展示します。

トークイベント
坂本淳(写真家) × 前田准一(いづゝや商店店主) × 岡本芳枝(企画協力)
日時:7月29日(土) / 16:00~17:30 
※予約制です。お申し込みは、いづゝや商店(月曜休み)まで。
TEL:082-247-6527 / MAIL:info@izuzya.com



【展覧会の趣旨】
原爆ドームから至近距離の場所に、原爆ドームをモチーフとする作品を相対する形で展示する。戦前の広島の美術界でサロンのような役割を果たしたエリアでトークイベントを開催する。この二つを通して、原爆ドームのイメージと広島の美術について再考するための場を設けることが、本展を開催する目的です。

※会場の「いづゝや商店」は原爆ドームまで直線で約100メートルの場所にあり、戦前の広島でパトロンとして知られた医師・黒川節司の住居兼仕事場があった場所の隣に位置します。また同じく戦前に、美術雑誌「實現」の発行で知られる文化人・佐伯卓造も会場からほど近い場所で広告と印刷の事業を営んでいました。

【作品概要】
見慣れたイメージを見知らぬものへと変容させる。固定化した認識に「?」を付けることで思考が始まり、少しだけ認識の深みが増す。この作品は原爆ドームのイメージについて再考することで、その深みを得るための私なりの試みです。

【制作プロセス】
エドワード・ホッパー調の原爆ドームのある風景画をAIに生成させる。生成させた風景画の中にある原爆ドームを撮影し、その際にブレとボケを使って抽象化する。撮影した画像データの明るさ、色味、画角をフォトショップで調整する。調整した画像データをインクジェットプリンターで出力。



【展覧会に寄せて:岡本芳枝(企画協力)】
作品から見て取れるイメージとしては、縦長の矩形と半円形の組み合わせであり、それだけでしかない。それでも、私たちは、そこに「原爆ドーム」の姿を見てしまう。坂本自身が説明しているように、被写体は「原爆ドーム」ではなく、AIが生成した図であるとのこと。そもそも、現在「原爆ドーム」と呼ばれているものは、1915年竣工の「広島県物産陳列館」である(1921年に「広島県立商品陳列所」、1933年に「広島県産業奨励館」と名称変更)。最盛期には、広島県内の物産を紹介・陳列・販売する、あるいは、博覧会や美術展を開催するコンベンションセンターとして機能していた。1945年8月6日の原子爆弾投下により、爆心地から至近距離の「広島県産業奨励館」は半壊しながらも鉄骨やレンガが残った。頂上の円蓋鉄骨の形からいつしか「原爆ドーム」と呼ばれるようになったという。そのイメージは圧倒的で、私たちは、矩形と半円形の組み合わせに「原爆ドーム」を見てしまうのだ。それは反核・平和のシンボル的なイメージとなった。それを盲目的に信じ込んでいるうちに、実際の社会は、生活は、危うくなり崩壊してきてはいないだろうか。そんなところにまで連想が及んでしまう。それが、坂本淳の「Domes」の魅力だと思う。

岡本芳枝(企画協力)

岡本芳枝 / 経歴
広島市現代美術館学芸員、広島市文化財団事業課、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を経て、現在、広島市内公民館職員



暑い盛りではありますが、会場まで足をお運びいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

なお、本展は「いづゝや100周年記念事業」の一環としての開催となります。

© Jun Sakamoto 2024